3→4のミッシングリンク?『スターウォーズ:フォースアンリーシュド』(PC版)レビュー
スターウォーズの世界観に没入出来るGod of Warタイプのアクションゲームですが…
日本語音声や字幕は無いがプレイには支障なし。箱コンに対応。
良い部分
ストーリー自体は良く出来ています。割ときれいにモデリングされたお馴染みのキャラクターと、エピソード3と4の間のミッシングリンクを埋めるかも?知れない『ベイダー卿の秘密の弟子』スターキラーが主人公という奇抜なアイデア。
何故秘密の弟子かと言うと、シスは師匠と弟子の一子相伝が基本。銀河皇帝の弟子であるダース・ベイダーに弟子は存在してはいけないというオキテがあるらしいからです。
スターキラーといえば、元々ルーク・スカイウォーカーの名前の候補だったことでファンにはお馴染みですしエピソード7でも「スターキラー基地」という惑星破壊砲として名前が登場。惑星や帝国軍の基地の細かな部分までよく再現されています。
本当に設定自体はいいんです、設定は。でもこれがゲームでなければもっともっと良かったんです…
悪い部分
端的に言ってしまえば、アクションゲームを操作する楽しさを削ぐ要素が 「あらゆる箇所」で目につきます。
まずPC版固有の致命的な不具合で「sky blur problem」や「motion blur problem」と言われるノートPC等比較的低スペックなPCで発生する問題。Steamのフォーラム(掲示板)などでも確認されている既知の問題点です。
(遠景でモーションブラーが発生し、必要なオブジェが表示されていない)
恐らく数年前のPCでNVIDIA等の専用グラフィックチップが搭載されていないタイプほぼ全てのパソコンで発生する問題だと思われます。(自分の場合はIntelHD3000搭載のノートPCで確認)
不具合の内容はある程度遠景があるシーン。特にスターウォーズはそのような箇所は多いと思いますが…その遠景全体に強烈なモーションブラーが掛り、視覚的に非常に目が疲れます。また本来表示されるべき遠景も透明になり「元々存在していないような感じ」になります。
これはグラフィック性能依存の不具合らしいので、そのPCで発生してしまうと残念ながら具体的な対応策はなく、諦めてプレイを続けるか別のグラフィックス性能の良いPCでプレイするしかありません。
例えば宇宙を背景にタイ・ファイターが飛行するシーンでフォトショップでタイ・ファイター『ブラシ』を作ったかのような強烈に糸を引いた軌跡が背景を覆ったり、スターウォーズのロゴ自体に強烈なブラーが掛かったり…
この問題は目の疲れを我慢すれば、途中までプレイ出来ないことは無いです。ただ、終盤のクライマックスイベント『スター・デストロイヤー墜落作戦』(ネタバレ反転)で凶悪さを露わにします。遠景が透明になり「元々存在していない感じ」という不具合が「スター・デストロイヤー」にも適用されてしまい、主人公がフォースの力だけで「スター・デストロイヤーを帝国の都市に墜落させるシーン」で『巨大な無の何か』をQTEに従い操作するので、「スター・デストロイヤー」をじわじわと「回転」させ「角度調整」させて「引き寄せて墜落させる」イベントが全て台無しになります。元々このイベント自体がアクションゲームに余り関係がないのに重要なイベントなので不満が多いシーンですが『巨大な無の何か』の不具合が発生するプレイヤーは閉口せざるを得ない事態になってしまいます。
こちらはPC固有の問題なのでPS3(海外版ソフト)等家庭用機でプレイする場合は問題無いです。
他の気になる不満点
- ノックバック中やダウン時でも無敵時間一切無し 敵が近接攻撃メインのゲームならまだ良いんですが、このゲームは敵もビームやらライフルを遠くからかなりの精度で撃ってきます。ニュートラル時はある程度ライトセイバーで自動的に弾き返しますがアクション中は意識しなければ被弾します。敵の攻撃で吹っ飛ばされ倒れている時でも追い打ちでガンガン撃ってきてダメージが入ります。敵を無視してどんどん進めたい時も同じく、敵が多く沸く広いステージは「フォースでしか開けない扉」や「フォースでしか動かせないジェネレーター」を動かさない限り次のシーンに進めません。フォースで大きな仕掛けを動かす場合専用アングルに切り替わりますが、この時もプレイヤーに無敵時間は与えられず棒立ちのまま目標を動かさないといけないので良いマトです。「敵を無視し仕掛けを動かして早く進めたい」というゲーマーが誰しも思う作戦も『仕様』により厳しいものになっています。
- 巨悪『QTE』 ステージ毎のボスや特定の巨大敵にトドメを刺す場合、「本当に一番いいシーン」で唐突にQTEが発生します。一番最後に自らの手で自分が操作して手を下したいシーンでももれなくQTE!これについては多く語る必要は無いですね『開発者に死の裁きを』
ここからは普通の不満点
- お手軽コンボは◯だがフォースでのオブジェクト操作に難あり 対象をロックオンしてフォースで敵やオブジェクトを宙に持ち上げることが出来ますが、オブジェの移動は操作感がもっさりしていて直感的ではないです。対象は上下左右と前後にアナログスティックを使い動かせますが、次に述べるロックオンの使いづらさもあり最後までまだるっこしい限り。
- 乱雑で数が多い対象物 主人公のフォースで敵やオブジェクトが動かせる魅力は分かるんですが…対象ターゲットがあまりにも不要に多く、敵をロックオンしたいのに箱や壁にパネルに…等、ロックオンの自動判断に優先順位が無いので操作していてかなりのストレス要因になります。どうでも良い対象物を排除して敵にのみロックオン出来る機能や、必要な時にだけ最低限の物にロックオン出来る仕様が良かったですね。
- DLCのボリューム不足 本編クリアは初回10時間~12時間程度ですが、UltimateSithEditionに追加されている3つのDLC(ジェダイ神殿、氷の惑星ホス、タトゥーイン)はそれぞれクリアに1時間も掛からず小さく纏まっているような印象。エピソード4からルーク、老オビ=ワン、ジャバ・ザ・ハットやボバ・フェットなどが登場しますが、それぞれ本編のボリュームで言えば一つのステージ程度。精彩を欠く演出で、敢えず本編には入らなかったけど人気キャラをファンのために出した感じ。スターウォーズ素人の自分が見ても正史との整合性に?な展開が目立ちました。
まとめ
ムービーが飛ばせなかったり、やや読み込み時間が長い等些末な部分は目をつぶれます。純粋に3Dアクションの部分「だけ」もう少し洗練されていれば決して悪いゲームでは無かったと思いますが、フォースの操作にまつわる仕様や「sky blur problem」等、プレイするまで見えてこなかった『巨大地雷』が内包されているゲームですので、これからプレイする方は十分にその覚悟を持って購入してください。
おまけ
実はこのゲーム、最終戦でちょっとした分岐が存在しダース・ベイダー戦の後に「そのまま奥に直進して銀河皇帝と戦う」か「画面右下に小さく見えるダース・ベイダーともう一度戦う」か選択できます。結果エンディングムービーが異なりますので両方試してみることをオススメします。
また、どうしても倒せない敵がいる。ゲームをサクサク進めたい。と言った場合、このゲームはメニューの「コード入力」から有効なコードを入力することで体力最強やライトセイバーのカラー全開放、パラメーター全開放等初めから最強モードになれる裏ワザがあります。
コード入力するとセーブが出来ないという英文メッセージが出ますが、ステージでオートセーブが入ると自動的にセーブされますので問題なくすすめることが出来ます。