海象ノ日記

はるかな昔に さりし人の歌 今日も街に流る おもかげ知らずに 歌われる歌よ 今日も街に流る (シャルル・トレネ)

『ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所を訪ねて』

蒸留所までの道すがら


11月も終わりに近い頃、ニッカウヰスキー仙台の蒸留所を見学に訪れました。

蒸留所内の雑木林のドングリ、森が豊かです。
先日呑んだ「伊達」や、定番「竹鶴12年」など、ニッカのウィスキーは好んで飲みますが
今まで、実際醸造しているところは見たことがありませんでした。
仙台市まで、車で3時間程ドライブ。


11月末まで、土日祝日は工場までの送迎バスがあります。
作並温泉駅まで行き、車を駐め、そこからは徒歩で1.2キロ程歩きます。

途中、すくっと小高い山が見えてきました。
標高520メートル。『鎌倉山 (仙台市) - Wikipedia』です。



道路沿いはこんな感じでした。

ニッカ橋バス停とニッカ蒸留所の大きな看板が見えて来ました。

ニッカ橋

新川(にっかわ)川。ステッチ加工。

新川のこの水を使い、ニッカウヰスキーは作られます。

いよいよ、蒸留所が見えて来ました。

蒸留所へ


先ず、受付まで歩きます。

かなり、広いです。

広いと言うより、広大な、と言った方がいいですね。

ステッチ加工してみました。

独特の薫りが漂ってきました。小麦…酒粕…タール風の焦げた匂い…。

敷地内は、18万平米、東京ドームおよそ4個分だそうです。

まだ、歩きます。

駅までの送迎バスでしょうか。

建物は、すべて煉瓦の暖色で統一されています。

位置関係は、進行方向右手が蒸留所、左手に新川。
絶えずせせらぎが聞こえてきます。

ようやく「ゲストホール」が見えてきました。

ここが、受付所です。

名前、住所等を記入し、次の見学時間まで、資料を見て待ちます。
見学時間は30分程とのこと。
中では、パネルで各地の醸造所の説明や

施設の説明

ウィスキー作りの行程が、展示されていました。
液晶モニターでは、ニッカの社史、宮城峡へ蒸留所が作られるいきさつが説明されています。

いよいよ、見学が始まります。

見学開始

ここで、少しウィスキーについての解説。

ウィスキーの表記
モルト=麦のウィスキー、グレーン=トウモロコシ&麦のウィスキー
シングルカスクウィスキー
一つの蒸留所一つだけの樽から。
シングルモルトウィスキー
一つの蒸留所複数の樽から。
ピュアモルトウィスキー
複数の蒸留所複数モルトから。
「ピュア」は、モルトしか使っていないの意味。モルトウィスキー。
ブレンデッドウィスキー
複数の蒸留所複数モルトとグレーンのブレンド

宮城峡蒸留所では、モルトウィスキー「宮城峡」はもちろんですが、薫りと味の幅を持たせる為、グレーンウィスキーの醸造も行っており、一つの蒸留所で、2つの異なるタイプのウィスキーを製造するのはとても珍しい事のようです。
そして、ニッカ創業者「竹鶴政孝」氏の考案により、その製造工程の順番に、先ほどの鎌倉山に向かって進むよう設計されているそうです。


最初が、「キルン塔」です。

「パゴタ屋根」と呼ばれる三角の塔が象徴的なキルン塔では、麦芽(発芽させた麦)をピート(北海道石狩平野で採取されたヨシ、スゲなどの泥炭)で乾燥させる作業を行います。泥炭は、日干し煉瓦やおがくずを固めたブロックのような感じですが、匂いは少し土っぽいです。

泥炭が燃焼するときの煙が、ウィスキー独特の薫り付けに一役買っているそうです。
一旦外に出ます。

続いて、仕込み棟へ。

巨大なタンクがあるため、見学は階段を上り2階から行います。

糖化釜
仕込み棟では、乾燥させた麦芽を粉砕し、お湯を加えておかゆ状にし、良く撹拌させます。
ここで、でんぷんが糖化するので濾過します。この濾過したものがいわゆる「麦汁」と呼ばれるもの。
ビールでもお馴染みですね。

24時間3交代制で、厳しく状態を管理しているところ。

発酵釜
濾過した麦汁に「酵母」を加えると、酵母の働きにより糖分を「アルコール」や「香気成分」に変えてくれます。
この酵母も、様々な組み合せがありウィスキーのバリエーションが生まれます。
この時点でのアルコール度数は6〜8%。ここにホップを加えると、ビールになります。

奥に見える鎌倉山


池には白鳥が見えました。
続いては、一番シンボリックな器械がある「蒸留棟」です。

発酵液を次は蒸留する行程です。
「バルジ型」と呼ばれるポットスチル(蒸留釜)は、首の付け根に有る膨らみに、重めの薫りを含んだ蒸気が
一部液体となって又、釜に戻る為、余市醸造所にある「ストレート型」(付け根に膨らみが無く円錐形)と比べると、
スッキリ、ソフトな原酒になるそうです。
ここで、2度の蒸留を行い、無色透明の原酒が仕上がります。
アルコール度数は60%程になります。

8つある巨大なポットスチルには、首の部分にしめ縄がありました。
パンフレットによると、創業者竹鶴政孝の実家が造り酒屋であった為に、
習慣として行っているそうです。
最後は、樽詰めした原酒を寝かせる「貯蔵棟」です。

展示スペースに3つの樽が並んでいて、右から若い順に薫りを嗅ぎ分ける事が出来ます。
樽詰めして直ぐの一ヶ月では、まだアルコールの匂いがキツく、5年で良く知っているウィスキーの薫り
10年ものは、樽と原酒の濃縮したまろやかないい薫りが漂ってきます。

樽詰めする事で、年間2%ずつ水分とアルコールが蒸発し、20年ものになると
全体の半分が無くなるそうです。

さて、いよいよお楽しみの試飲コーナーです。

宮城峡10年と

最高峰の鶴17年をいただきました。
チェイサーはもちろん新川の仕込み水です。
宮城峡10年は、口に含んだときガツッとアルコールが来ますが、その後
口のなかに薫りがあふれる感じです。
17年ものになるとやはり、まろやかさやコクが一つ違うレベルになりますね。
すっと、染込んで終始柔らかい呑み心地です。

テイスティングルームの様子
お土産屋さんも併設しているので、ここでしか買えないウィスキーやグッズがあります。
宮城峡10年や、ウィスキーが染込んだチョコスポンジケーキ等を購入しました。

時間はおよそ3時。遅い昼食を施設内の「赤レンガ」でとりました。

中はこんな感じ。ジンギスカンや飲み放題プランなどもあるロッジ風のレストランです。

新川の水でいれた緑茶は、おかわり自由です。

気になりますね。

タンカレーの辛口と

ハイボールセットを注文してみました。

食後、少し回りを散歩してみましたが、本当に森が豊かな所です。
秋の終わりと言う事もあり、地面にはたくさんの様々なドングリが枯れ葉に混ざり落ちていました。
今回は、大変貴重な体験でした。




■参考したサイト

ウィスキーとバーボン 細密な行程解説が素晴らしいです。
ウイスキー - Wikipedia 定番、わからない事がったら先ずここ。